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Linux技術トレーニング 基本管理コース II

第3章 バックアップ/ リストア


この章では、次の内容を学習します。
  • MIRACLE LINUXでの基本的なバックアップ/リカバリ方法
    • バックアップ方法
    • リカバリ方法
    • ジョブスケジューラによるバックアップの採取

コンピュータに用意されている記憶媒体は、時として障害を引き起こして、格納された情報を読み出せなくなります。記憶媒体の障害発生は、その装置の性質上避けようのないものなので、障害が発生した場合でもすみやかに復旧できるように、バックアップを取得するなど、事前に対策を講じておく必要があります。

現在はRAID が普及したことによりコンピュータの可用性が向上していますが、RAID を使用した場合でも障害の発生が確実に阻止できるわけではありません。必ず定期的にバックアップを取得して、障害が発生しても確実に復旧できるように日頃から備えるようにしてください。

また、ユーザーの操作ミス、故意のデータ破壊などのデータ自体の損傷などに関しては、バックアップが一番の対策方法となります。

1. バックアップ方法
1-1. バックアップ方法
  • フルバックアップ法
  • 差分バックアップ法
  • 累積差分バックアップ法

バックアップの方法

バックアップの方法は、フルバックアップ法、差分バックアップ法、累積差分バックアップ法の3種類に大別できます。これらの間には、バックアップに要する時間、リストアに要する時間、保持しなければならないバックアップ媒体の数などのトレードオフが存在します。

・フルバックアップ法
バックアップ対象の全てのファイルをバックアップする基本的な方法です。システムやパーティションのファイルを全てバックアップするため、毎回非常に長い時間を必要としますが、最新の状態へは最新のバックアップ媒体のみでリストアすることが可能です。

backup

・差分バックアップ法
初回のフルバックアップ以降は、更新されたファイルのみをバックアップします。初回のフルバックアップ以外は非常に短い時間でバックアップの取得が可能ですが、最新の状態へ戻すために、初回のバックアップおよびすべての差分をリストアしなければなりません。

・累積差分バックアップ法
初回のフルバックアップ以降、差分バックアップをマージしてバックアップします。バックアップ取得に差分バックアップ法より長い時間を必要としますが、最新の状態へ戻すために最大でも2つのバックアップ媒体で済ませることが可能です。

差分バックアップ/累積差分バックアップともに、しかるべき期間をもって差分取得期間を終了して、再度フルバックアップを取得する必要があります。差分または累積差分のみを取得し続けるのは非常に危険です。


1-2. バックアップ・リストアの実行
  • dump/restore
  • afio
  • tar

dump/restoreコマンド
  • バックアップ対象は基本的にファイルシステム(管理ユーザー対象)
  • インクリメンタルバックアップ(前回のバックアップ時との差分のみバックアップすること)の機能に関して優れている
  • 対話モードがあって使いやすい
  • リストアした際atime(アクセス時間)が変わらない (dumpの場合はrawデバイス経由で処理するため。afioやtarでバックアップしたデータをリストアした場合にはatimeは変わる。)
afioコマンド
  • バックアップ対象はファイル単位(一般ユーザーも使用できる)
  • gzipと組み合わせて圧縮バックアップがとれる
    (dumpにもgzipと組み合わせるオプションがあるが、バックアップファイルが壊れてしまったときにdumpではまったく復旧できない。afioの場合は、壊れている箇所をスキップして最後までファイルをリストアできる。)
tarコマンド
  • バックアップ対象はファイル単位(一般ユーザーからも使用できる)
  • 使いやすいため、広く用いられている
  • 圧縮バックアップしたものの一部が壊れてしまうと、その箇所以降のファイルをリストアできなくなる

1-3. テープデバイスに保存する方法
  • テープデバイスは/dev/st* または /dev/nst*
  • /dev/st*
    - テープの先頭まで巻き戻す
  • /dev/nst*
    - 巻き戻さず、メディアに追記していく

テープデバイスに保存する方法

デフォルトは/dev/tapeです。
MIRACLE LINUXの場合は、テープデバイスは/dev/st*または/dev/nst*として指定します。
/dev/st*を指定すると、テープドライブはコマンド実行後にテープの先頭まで巻き戻します。

BOT今回のバックアップEOF            EOF

/dev/nst*を指定すると、巻き戻しません。メディアに追記していく場合は/dev/nst*を利用します。

BOT前回のバックアップEOF今回のバックアップEOF

常に同じテープデバイスにバックアップする場合には、次のようにシンボリックリンクを作成しておくと、毎回の指定を省略できて便利です。

# /bin/ln -s /dev/nst0 /dev/tape

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