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2004/07/01
Oracle Application Server 10g (9.0.4)のインストール方法(ML3.0)
MIRACLE LINUX V3.0 対応

[問題]

Oracle Application Server 10g (9.0.4)のインストール方法(ML3.0)

[対象となる製品のバージョン]

 MIRACLE LINUX V3.0

[対象となるパッケージ]

Oracle Application Server 10g (9.0.4)
※2004年8月正式サポート予定。正式サポートになってもMIRACLE LINUXに機能的な変更点はございません。

[説明]

 このFAQでは、MIRACLE LINUX V3.0にOracle Application Server 10g (9.0.4)をインストールする方法について説明します。インストールする方法としては、次の2つの方法があります。

  • Install Navigator for Oracleを使う方法
  • Install Navigator for Oracleを使わない方法

 このFAQではInstall Navigator for Oracle(以下、oranavi)を使わない方法について説明します。oranavi を使う方法につきましては、oranaviを起動すると表示されるドキュメントをご覧ください。

※Install Navigator for Oracleとは、Oracle製品のインストールを支援するユーティリティです。とても簡単にOracleをインストールできるのでお勧めです。

インストールの手順

 インストールは下記の手順で行います。この文書では、おもにOSのインストールからOracle Universal Installerの起動までについて説明します。Oracle Universal Installerが起動してからについては、下記のOracle製品マニュアルをご覧ください。

  • Oracle Application Server 10g インストレーション・ガイド 10g(9.0.4)for HP-UX PA-RISC(64-bit)and Linux x86
  • Oracle Application Server 10g リリース・ノート 10g(9.0.4)for Linux x86
    ※[Red Hat Enterprise Linux ES/AS 3] を、[MIRACLE LINUX V3.0] に置き換えて参照してください。
  1. OS のインストール
  2. ハードウェア要件の確認
  3. ソフトウェア要件の確認
  4. カーネルパラメータの確認
  5. シェル制限の確認
  6. MIRACLE LINUX V3.0固有の環境設定
  7. インストールユーザーおよびグループの作成
  8. インストール先ディレクトリの作成
  9. 環境変数の設定
  10. Oracle Application Server 10gのインストール
  11. インストール後の設定

実際のインストール作業

  1. OS のインストール

     インストレーションガイドに従ってインストールします。インストールの種類では「すべて」などを選択してください。また、ハードウェア要件は下記の通りです。ディスクパーティション設定の際には、注意してください。

    項目内容
    搭載メモリ 最小構成で512MB以上、すべてのコンポーネントを動作させる場合には1.5GB
    OracleAS Infrastructure 10g:
     OracleAS Metadata RepositoryおよびIdentity Management 1GB
     Identity Managementのみ 512MB
     OracleAS Metadata Repositoryのみ 750MB
    Oracle Application Serverの中間層:
     J2EE and Web Cache 512MB
     Portal and Wireless 1GB
     Business Intelligence and Forms 1GB
    OracleAS Developer Kits 10g 256MB
    空きディスク領域 OracleAS Infrastructure 10g:
     OracleAS Metadata RepositoryおよびIdentity Management 2.94GB
     Identity Managementのみ 781MB
     OracleAS Metadata Repositoryのみ 2.94GB
    Oracle Application Serverの中間層:
     J2EE and Web Cache 509MB
     Portal and Wireless 895MB
     Business Intelligence and Forms 1.29GB
    OracleAS Developer Kits 10g 600MB
    スワップ領域1.5GB
    その他/tmpに250MB以上の空きディスク領域

  2. ハードウェア要件の確認

     Oracle Application Server 10gをインストールするには、前記のハードウェア要件を満たす必要があります。それぞれについて確認します。

     搭載メモリとスワップサイズは、次のコマンドで調べられます。MemTotalが搭載メモリで、SwapTotalがスワップです。

    $ cat /proc/meminfo
            total:    used:    free:  shared: buffers:  cached:
    Mem:  1052545024 1036943360 15601664 179281920 191262720 573591552
    Swap: 542826496 32862208 509964288
    MemTotal:      1027876 kB
    MemFree:         15236 kB
    MemShared:      175080 kB
    Buffers:        186780 kB
    Cached:         543004 kB
    SwapCached:      17144 kB
    Active:         587336 kB
    Inact_dirty:    326404 kB
    Inact_clean:      8268 kB
    Inact_target:   256936 kB
    HighTotal:      131008 kB
    HighFree:        11524 kB
    LowTotal:       896868 kB
    LowFree:          3712 kB
    SwapTotal:     2030104 kB
    SwapFree:       498012 kB
    BigPagesFree:        0 kB
    

     Oracleをインストールするパーティションにハードウェア要件を満たす空きがあることを確認します。

    $ df -h
    Filesystem            Size  Used Avail Use% Mounted on
    /dev/sda5              26G   21G  3.7G  85% /
    /dev/sda1              68M   11M   54M  16% /boot
    

     同様に/tmpを含むパーティションに250MB以上の空きがあることを確認します。空きがないときには、TEMP環境変数を使って回避できます。

    $ df -h /tmp
    Filesystem            Size  Used Avail Use% Mounted on
    /dev/sda5              26G   21G  3.7G  85% /
    

  3. ソフトウェア要件の確認

     MIRACLE LINUX V3.0 に Oracle Application Server 10g をインストールする際のソフトウェア要件は以下の通りで、これらのパッケージはすべてMIRACLE LINUX V3.0 に同梱されています。

     ・gcc-3.2.3-20
     ・setarch-1.3-1
     ・pdksh-5.2.14
     ・openmotif21-2.1.30-8
     ・gnome-libs-1.4.1.2.90-34.1
     ・compat-glibc-7.x-22.4.32.5
     ・compat-gcc-7.3-2.96.122
     ・compat-libstdc++-7.3-2.96.122
     ・compat-libstdc++-devel-7.3-2.96.122
     ・compat-gcc-c++-7.3-2.96.122
     ・sysstat-4.00.7

     次コマンドでインストール済みパッケージを確認します。

    # rpm -q \
    gcc-3.2.3-36 \
    setarch-1.3-1 \
    pdksh-5.2.14-21 \
    openmotif21-2.1.30-8 \
    gnome-libs-1.4.1.2.90-34.1 \
    compat-glibc-7.x-2.2.4.32.6 \
    compat-gcc-7.3-2.96.128 \
    compat-libstdc++-7.3-2.96.128 \
    compat-libstdc++-devel-7.3-2.96.128 \
    compat-gcc-c++-7.3-2.96.128 \
    sysstat-4.0.7-4.2AX
    
  4. OSインストール後に、不足しているパッケージがある場合には、以下の手順でインストールCD-ROMからインストールを行います。

    # mount /mnt/cdrom
    # cd /mnt/cdrom/Asianux/RPMS
    # rpm -ivh sysstat-4.0.7-4.2AX
    

  5. カーネルパラメータの設定

     MIRACLE LINUXのカーネルパラメータはOracleに最適化されています。そのため特に変更する必要はございません。

     カーネルパラメータを確認するには/etc/sysctl.confファイルを参照してください。

    # vi /etc/sysctl.conf
    kernel.msgmnb = 65535
    kernel.msgmni = 2878
    kernel.sem = 256 32000 100 142
    kernel.shmmax = 2147483648
    fs.file-max = 131072
    fs.aio-max-size = 2147483648
    net.ipv4.ip_local_port_range = 1024 65000
    

    設定ファイル変更の際には、「sysctl -p」で、設定した値を動的に有効にします。

    # sysctl -p
    

  6. シェル制限の設定

     シェル制限とは、ユーザーごとの最大プロセス数や最大オープンファイル数など、ユーザーごとに設定する制限値です。MIRACLE LINUX V3.0 では、シェル制限はあらかじめ設定されています。/etc/security/limits.confに、次の内容が設定されていることを確認してください。
    rootユーザーが変更できる上限値のハードリミットと、一般ユーザーが変更できる上限値のソフトリミットがあります。

    # vi /etc/security/limits.conf
    
    *               hard    nproc   16384
    *               soft    nofile  2048
    *               hard    nofile  65536
    

  7. MIRACLE LINUX V3.0固有の環境設定

     MIRACLE LINUX V3.0にOracle Application Server 10gをインストールするためには、Oracle社が提供するPatch#3006854というパッチを適用し、gccのバージョンを変更する必要があります。このパッチはCD-Packの下記のCDに収録されています。

    Oracle Application Server 10g (9.0.4) for Linux x86 JP Update CD

     ただしMIRACLE LINUX V3.0では、上記のPatch#3006854と同等の効果を持つoracle9i_supportというRPMパッケージを提供しています。このRPMを利用すれば上記のパッチが無くてもインストールできます。

     ここでは、oracle9i_supportパッケージを使用する方法と、使用しない方法について説明します。

    oracle9i_supportを使用する場合

    1. oracle9i_supportはデフォルトではインストールされません。MIRACLE LINUXのインストールCDからインストールします。
    2. # rpm -ivh /mnt/cdrom/Asianux/RPMS/oracle9i_support-1.0-2AX.i386.rpm  
      

    3. gccのバージョンを2.96に変更します。mvやlnコマンドでも変更できますが、oracle9i_supportに含まれるchgcc.shコマンドを使用すると簡単に変更できます。
    4. # chgcc.sh -v 296 
      

      元のバージョンに戻すときには、次のように指定します。

      # chgcc.sh -v 323
      

    5. 以上で作業は終了です。[インストールユーザーおよびグループの作成]に進んでください。

    oracle9i_supportを使用しない場合

    1. gccのバージョンを2.96に変更します。
    2. # mv /usr/bin/gcc /usr/bin/gcc323
      # mv /usr/bin/g++ /usr/bin/g++323
      # ln -s /usr/bin/gcc296 /usr/bin/gcc
      # ln -s /usr/bin/g++296 /usr/bin/g++
      

      元のバージョンに戻すときには、次のように入力します。

      # rm /usr/bin/gcc
      # rm /usr/bin/g++
      # mv /usr/bin/gcc323 /usr/bin/gcc
      # mv /usr/bin/g++323 /usr/bin/g++
      

    3. Patch#3006854を解凍します。「Oracle Application Server 10g (9.0.4) for Linux x86 JP Update CD」をお持ちの場合、install_upgrade/3006854ディレクトリに収録されています。
    4. # cp /mnt/cdrom/install_upgrade/3006854/p3006854_9204_LINUX.zip /tmp
      # cd /tmp
      # unzip p3006854_9204_LINUX.zip
      Archive:  p3006854_9204_LINUX.zip
         creating: 3006854/
        inflating: 3006854/rhel3_pre_install.sh
        inflating: 3006854/README.txt
      

    5. rootユーザーでPatch#3006854を適用します。
    6. # cd 3006854
      # sh rhel3_pre_install.sh
      

  8. インストールユーザーおよびグループの作成

     このセクションではOracleオーナーとなるユーザーおよびグループを作成します。今回は次の条件でインストールします。

      項目
      Oracleオーナーoracle
      Oracleインストール用グループoinstall
      Oracle管理者用グループdba
      グローバルデータベース名orcl
      Oracleのインストール先/opt/app/oracle
      データベースの作成先/opt/app/oracle/oradata

     インストール用ユーザーグループ「oinstall」と管理者用グループ「dba」を作成します。

    # groupadd oinstall
    # groupadd dba
    

  9.  oracleユーザーを作成します。作成したらパスワードも設定します。

    # useradd -g oinstall -G dba oracle
    # passwd oracle
    Changing password for user oracle
    New password:<ここにパスワードを入力>
    Retype new password:<同じパスワードを入力>
    passwd: all authentication tokens updated successfully
    

  10. インストール先ディレクトリの作成

     Oracleのインストール先ディレクトリを作成します。今回はORACLE_BASEを/opt/app/oracleとしていますが、/u01/app/oracleや/opt/oracleなどでも構いません。

    # mkdir -p /opt/app/oracle
    # chown oracle:oinstall /opt/app/oracle
    # chmod 775 /opt/app/oracle
    

  11. 環境変数の設定

     Oracle Application Server 10gに必要な環境変数をoracleユーザーに設定します。Oracle9i Databaseでは、ORACLE_HOMEやNLS_LANGなども設定していましたが、Oracle Application Server 10gでは、インストール時にはORACLE_BASEとORACLE_SIDだけになりました。それ以外の環境変数は、インストール後に設定します。

     また、これまではrootユーザーで作業してきましたが、ここからはoracleユーザーで作業します。rootユーザーとはコマンドプロンプトが違うので注意してください。rootユーザーは"#"で、一般ユーザーは"$"です。

    $ cd
    $ vi .bash_profile
    
    export ORACLE_BASE=/opt/app/oracle
    export ORACLE_SID=orcl
    ulimit -n 65536 >/dev/null 2>&1
    ulimit -u 16384 >/dev/null 2>&1
    

     設定した値を有効にします。

    $ . .bash_profile
    

    ssh経由で接続したときのエラー

     ssh経由で接続すると、次のエラーが発生することがあります。

     bash: ulimit: cannot modify limit: Operation not permitted

     この原因は、ssh接続時に、/etc/security/limits.confの設定は反映されないからです。sshではセキュリティ確保のため、ssh経由で接続したプロセスに対し、そのユーザーが本来持っている権限以上の変更はできません。

     ssh経由でも/etc/security/limits.confの設定を有効にしたいときには、sshdの設定ファイルに次の1行を追加します。

  12. # vi /etc/sshd/sshd_config
    
    UsePrivilegeSeparation no
    
    
    sshdデーモンを再起動します。
    # service sshd restart
    

     ただし、この設定はセキュリティホールにつながる可能性があります。外部からアクセスできるサーバーには絶対に設定しないでください。
  13. Oracle Application Server 10gのインストール

     Oracle Application Server 10gのインストールのインストールを開始します。oracleユーザーでログインしてX-Windowsを起動します。インストール時には、rootユーザーも使用するので、ターミナルを2つ起動して、1つをrootユーザーにします。

    $ su -
    Password:
    

     Oracle Application Server 10gのCD-ROMをドライブにセットしてマウントします。

    # mount /mnt/cdrom
    

  14.  ここからはoracleユーザーの作業です。ハードウェア要件の確認で、/tmpの空き容量が少ないときには、十分に空きのあるディレクトリを環境変数TEMP,TMPDIRに指定します。

    $ mkdir /opt/app/oracle/tmp
    $ export TEMP=/opt/app/oracle/tmp
    $ export TMPDIR=/opt/app/oracle/tmp
    

     ORACLE_HOMEやTNS_ADMINなどが設定されていないことを確認します。設定してあるときはunsetします。

    $ echo $ORACLE_HOME
    $ echo $TNS_ADMIN
    
    設定してあるときのみ実行:
    $ unset ORACLE_HOME
    $ unset TNS_ADMIN
    

     oracleユーザーでインストーラーを起動します。あとは画面の指示に従ってインストールします。詳細はOracleの製品マニュアルをご覧ください。

    $ /mnt/cdrom/runInstaller
    

  15. インストール後の設定

     インストールが終わったら画面の指示に従ってroot.shを実行します。それからOracle Universal Installerを終了します。ここではOracle Universal Installer終了後の作業について説明します。

     インストールのときにはORACLE_BASEとORACLE_SIDしか設定していなかったので、そのほかの環境変数も設定します。前回よりも後ろの位置に追加してください。ORACLE_HOMEは、Oracle Universal Installerで設定したものを使用してください。デフォルトでは、$ORACLE_BASE/product/9.0.4です。

    $ cd
    $ vi .bash_profile
    
    export ORACLE_HOME=$ORACLE_BASE/product/9.0.4/
    export NLS_LANG=Japanese_Japan.JA16EUC
    export PATH=$ORACLE_HOME/bin:$PATH
    export LD_LIBRARY_PATH=$LD_LIBRARY_PATH:$ORACLE_HOME/lib
    

     設定した値を有効にします。これでインストール作業は終了です。あとはマニュアルなどを参考に操作してください。

    $ . .bash_profile
    

[参考資料]

 特に無し

[更新履歴]

 2004/07/14 正式サポートに関する記述追加
 2004/07/13 修正
 2004/07/01 新規作成

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