[問題]
Oracle Application Server 10g (9.0.4)のインストール方法(ML3.0)
[対象となる製品のバージョン]
MIRACLE LINUX V3.0
[対象となるパッケージ]
Oracle Application Server 10g (9.0.4)
※2004年8月正式サポート予定。正式サポートになってもMIRACLE LINUXに機能的な変更点はございません。
[説明]
このFAQでは、MIRACLE LINUX V3.0にOracle Application Server 10g (9.0.4)をインストールする方法について説明します。インストールする方法としては、次の2つの方法があります。
- Install Navigator for Oracleを使う方法
- Install Navigator for Oracleを使わない方法
このFAQではInstall Navigator for Oracle(以下、oranavi)を使わない方法について説明します。oranavi を使う方法につきましては、oranaviを起動すると表示されるドキュメントをご覧ください。
※Install Navigator for Oracleとは、Oracle製品のインストールを支援するユーティリティです。とても簡単にOracleをインストールできるのでお勧めです。
インストールの手順
インストールは下記の手順で行います。この文書では、おもにOSのインストールからOracle Universal Installerの起動までについて説明します。Oracle Universal Installerが起動してからについては、下記のOracle製品マニュアルをご覧ください。
- Oracle Application Server 10g インストレーション・ガイド 10g(9.0.4)for HP-UX PA-RISC(64-bit)and Linux x86
- Oracle Application Server 10g リリース・ノート 10g(9.0.4)for Linux x86
※[Red Hat Enterprise Linux ES/AS 3] を、[MIRACLE LINUX V3.0] に置き換えて参照してください。
- OS のインストール
- ハードウェア要件の確認
- ソフトウェア要件の確認
- カーネルパラメータの確認
- シェル制限の確認
- MIRACLE LINUX V3.0固有の環境設定
- インストールユーザーおよびグループの作成
- インストール先ディレクトリの作成
- 環境変数の設定
- Oracle Application Server 10gのインストール
- インストール後の設定
実際のインストール作業
- OS のインストール
インストレーションガイドに従ってインストールします。インストールの種類では「すべて」などを選択してください。また、ハードウェア要件は下記の通りです。ディスクパーティション設定の際には、注意してください。
項目 | 内容 |
搭載メモリ |
最小構成で512MB以上、すべてのコンポーネントを動作させる場合には1.5GB
OracleAS Infrastructure 10g:
OracleAS Metadata RepositoryおよびIdentity Management 1GB
Identity Managementのみ 512MB
OracleAS Metadata Repositoryのみ 750MB
Oracle Application Serverの中間層:
J2EE and Web Cache 512MB
Portal and Wireless 1GB
Business Intelligence and Forms 1GB
OracleAS Developer Kits 10g 256MB
|
空きディスク領域 |
OracleAS Infrastructure 10g:
OracleAS Metadata RepositoryおよびIdentity Management 2.94GB
Identity Managementのみ 781MB
OracleAS Metadata Repositoryのみ 2.94GB
Oracle Application Serverの中間層:
J2EE and Web Cache 509MB
Portal and Wireless 895MB
Business Intelligence and Forms 1.29GB
OracleAS Developer Kits 10g 600MB
|
スワップ領域 | 1.5GB |
その他 | /tmpに250MB以上の空きディスク領域 |
- ハードウェア要件の確認
Oracle Application Server 10gをインストールするには、前記のハードウェア要件を満たす必要があります。それぞれについて確認します。
搭載メモリとスワップサイズは、次のコマンドで調べられます。MemTotalが搭載メモリで、SwapTotalがスワップです。
$ cat /proc/meminfo
total: used: free: shared: buffers: cached:
Mem: 1052545024 1036943360 15601664 179281920 191262720 573591552
Swap: 542826496 32862208 509964288
MemTotal: 1027876 kB
MemFree: 15236 kB
MemShared: 175080 kB
Buffers: 186780 kB
Cached: 543004 kB
SwapCached: 17144 kB
Active: 587336 kB
Inact_dirty: 326404 kB
Inact_clean: 8268 kB
Inact_target: 256936 kB
HighTotal: 131008 kB
HighFree: 11524 kB
LowTotal: 896868 kB
LowFree: 3712 kB
SwapTotal: 2030104 kB
SwapFree: 498012 kB
BigPagesFree: 0 kB
|
Oracleをインストールするパーティションにハードウェア要件を満たす空きがあることを確認します。
$ df -h
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on
/dev/sda5 26G 21G 3.7G 85% /
/dev/sda1 68M 11M 54M 16% /boot
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同様に/tmpを含むパーティションに250MB以上の空きがあることを確認します。空きがないときには、TEMP環境変数を使って回避できます。
$ df -h /tmp
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on
/dev/sda5 26G 21G 3.7G 85% /
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- ソフトウェア要件の確認
MIRACLE LINUX V3.0 に Oracle Application Server 10g をインストールする際のソフトウェア要件は以下の通りで、これらのパッケージはすべてMIRACLE LINUX V3.0 に同梱されています。
・gcc-3.2.3-20
・setarch-1.3-1
・pdksh-5.2.14
・openmotif21-2.1.30-8
・gnome-libs-1.4.1.2.90-34.1
・compat-glibc-7.x-22.4.32.5
・compat-gcc-7.3-2.96.122
・compat-libstdc++-7.3-2.96.122
・compat-libstdc++-devel-7.3-2.96.122
・compat-gcc-c++-7.3-2.96.122
・sysstat-4.00.7
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次コマンドでインストール済みパッケージを確認します。
# rpm -q \
gcc-3.2.3-36 \
setarch-1.3-1 \
pdksh-5.2.14-21 \
openmotif21-2.1.30-8 \
gnome-libs-1.4.1.2.90-34.1 \
compat-glibc-7.x-2.2.4.32.6 \
compat-gcc-7.3-2.96.128 \
compat-libstdc++-7.3-2.96.128 \
compat-libstdc++-devel-7.3-2.96.128 \
compat-gcc-c++-7.3-2.96.128 \
sysstat-4.0.7-4.2AX
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OSインストール後に、不足しているパッケージがある場合には、以下の手順でインストールCD-ROMからインストールを行います。
# mount /mnt/cdrom
# cd /mnt/cdrom/Asianux/RPMS
# rpm -ivh sysstat-4.0.7-4.2AX
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- カーネルパラメータの設定
MIRACLE LINUXのカーネルパラメータはOracleに最適化されています。そのため特に変更する必要はございません。
カーネルパラメータを確認するには/etc/sysctl.confファイルを参照してください。
# vi /etc/sysctl.conf
kernel.msgmnb = 65535
kernel.msgmni = 2878
kernel.sem = 256 32000 100 142
kernel.shmmax = 2147483648
fs.file-max = 131072
fs.aio-max-size = 2147483648
net.ipv4.ip_local_port_range = 1024 65000
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設定ファイル変更の際には、「sysctl -p」で、設定した値を動的に有効にします。
- シェル制限の設定
シェル制限とは、ユーザーごとの最大プロセス数や最大オープンファイル数など、ユーザーごとに設定する制限値です。MIRACLE LINUX V3.0 では、シェル制限はあらかじめ設定されています。/etc/security/limits.confに、次の内容が設定されていることを確認してください。 rootユーザーが変更できる上限値のハードリミットと、一般ユーザーが変更できる上限値のソフトリミットがあります。
# vi /etc/security/limits.conf
* hard nproc 16384
* soft nofile 2048
* hard nofile 65536
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- MIRACLE LINUX V3.0固有の環境設定
MIRACLE LINUX V3.0にOracle Application Server 10gをインストールするためには、Oracle社が提供するPatch#3006854というパッチを適用し、gccのバージョンを変更する必要があります。このパッチはCD-Packの下記のCDに収録されています。
Oracle Application Server 10g (9.0.4) for Linux x86 JP Update CD
ただしMIRACLE LINUX V3.0では、上記のPatch#3006854と同等の効果を持つoracle9i_supportというRPMパッケージを提供しています。このRPMを利用すれば上記のパッチが無くてもインストールできます。
ここでは、oracle9i_supportパッケージを使用する方法と、使用しない方法について説明します。
oracle9i_supportを使用する場合
- oracle9i_supportはデフォルトではインストールされません。MIRACLE LINUXのインストールCDからインストールします。
# rpm -ivh /mnt/cdrom/Asianux/RPMS/oracle9i_support-1.0-2AX.i386.rpm
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- gccのバージョンを2.96に変更します。mvやlnコマンドでも変更できますが、oracle9i_supportに含まれるchgcc.shコマンドを使用すると簡単に変更できます。
元のバージョンに戻すときには、次のように指定します。
- 以上で作業は終了です。[インストールユーザーおよびグループの作成]に進んでください。
oracle9i_supportを使用しない場合
- gccのバージョンを2.96に変更します。
# mv /usr/bin/gcc /usr/bin/gcc323
# mv /usr/bin/g++ /usr/bin/g++323
# ln -s /usr/bin/gcc296 /usr/bin/gcc
# ln -s /usr/bin/g++296 /usr/bin/g++
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元のバージョンに戻すときには、次のように入力します。
# rm /usr/bin/gcc
# rm /usr/bin/g++
# mv /usr/bin/gcc323 /usr/bin/gcc
# mv /usr/bin/g++323 /usr/bin/g++
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- Patch#3006854を解凍します。「Oracle Application Server 10g (9.0.4) for Linux x86 JP Update CD」をお持ちの場合、install_upgrade/3006854ディレクトリに収録されています。
# cp /mnt/cdrom/install_upgrade/3006854/p3006854_9204_LINUX.zip /tmp
# cd /tmp
# unzip p3006854_9204_LINUX.zip
Archive: p3006854_9204_LINUX.zip
creating: 3006854/
inflating: 3006854/rhel3_pre_install.sh
inflating: 3006854/README.txt
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- rootユーザーでPatch#3006854を適用します。
# cd 3006854
# sh rhel3_pre_install.sh
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インストールユーザーおよびグループの作成
このセクションではOracleオーナーとなるユーザーおよびグループを作成します。今回は次の条件でインストールします。
項目 | 値 |
Oracleオーナー | oracle |
Oracleインストール用グループ | oinstall |
Oracle管理者用グループ | dba |
グローバルデータベース名 | orcl |
Oracleのインストール先 | /opt/app/oracle |
データベースの作成先 | /opt/app/oracle/oradata |
インストール用ユーザーグループ「oinstall」と管理者用グループ「dba」を作成します。
# groupadd oinstall
# groupadd dba
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oracleユーザーを作成します。作成したらパスワードも設定します。
# useradd -g oinstall -G dba oracle
# passwd oracle
Changing password for user oracle
New password:<ここにパスワードを入力>
Retype new password:<同じパスワードを入力>
passwd: all authentication tokens updated successfully
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インストール先ディレクトリの作成
Oracleのインストール先ディレクトリを作成します。今回はORACLE_BASEを/opt/app/oracleとしていますが、/u01/app/oracleや/opt/oracleなどでも構いません。
# mkdir -p /opt/app/oracle
# chown oracle:oinstall /opt/app/oracle
# chmod 775 /opt/app/oracle
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環境変数の設定
Oracle Application Server 10gに必要な環境変数をoracleユーザーに設定します。Oracle9i Databaseでは、ORACLE_HOMEやNLS_LANGなども設定していましたが、Oracle Application Server 10gでは、インストール時にはORACLE_BASEとORACLE_SIDだけになりました。それ以外の環境変数は、インストール後に設定します。
また、これまではrootユーザーで作業してきましたが、ここからはoracleユーザーで作業します。rootユーザーとはコマンドプロンプトが違うので注意してください。rootユーザーは"#"で、一般ユーザーは"$"です。
$ cd
$ vi .bash_profile
export ORACLE_BASE=/opt/app/oracle
export ORACLE_SID=orcl
ulimit -n 65536 >/dev/null 2>&1
ulimit -u 16384 >/dev/null 2>&1
|
設定した値を有効にします。
ssh経由で接続したときのエラー
ssh経由で接続すると、次のエラーが発生することがあります。
bash: ulimit: cannot modify limit: Operation not permitted
この原因は、ssh接続時に、/etc/security/limits.confの設定は反映されないからです。sshではセキュリティ確保のため、ssh経由で接続したプロセスに対し、そのユーザーが本来持っている権限以上の変更はできません。
ssh経由でも/etc/security/limits.confの設定を有効にしたいときには、sshdの設定ファイルに次の1行を追加します。
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# vi /etc/sshd/sshd_config
UsePrivilegeSeparation no
sshdデーモンを再起動します。
# service sshd restart
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ただし、この設定はセキュリティホールにつながる可能性があります。外部からアクセスできるサーバーには絶対に設定しないでください。
Oracle Application Server 10gのインストール
Oracle Application Server 10gのインストールのインストールを開始します。oracleユーザーでログインしてX-Windowsを起動します。インストール時には、rootユーザーも使用するので、ターミナルを2つ起動して、1つをrootユーザーにします。
Oracle Application Server 10gのCD-ROMをドライブにセットしてマウントします。
ここからはoracleユーザーの作業です。ハードウェア要件の確認で、/tmpの空き容量が少ないときには、十分に空きのあるディレクトリを環境変数TEMP,TMPDIRに指定します。
$ mkdir /opt/app/oracle/tmp
$ export TEMP=/opt/app/oracle/tmp
$ export TMPDIR=/opt/app/oracle/tmp
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ORACLE_HOMEやTNS_ADMINなどが設定されていないことを確認します。設定してあるときはunsetします。
$ echo $ORACLE_HOME
$ echo $TNS_ADMIN
設定してあるときのみ実行:
$ unset ORACLE_HOME
$ unset TNS_ADMIN
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oracleユーザーでインストーラーを起動します。あとは画面の指示に従ってインストールします。詳細はOracleの製品マニュアルをご覧ください。
$ /mnt/cdrom/runInstaller
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インストール後の設定
インストールが終わったら画面の指示に従ってroot.shを実行します。それからOracle Universal Installerを終了します。ここではOracle Universal Installer終了後の作業について説明します。
インストールのときにはORACLE_BASEとORACLE_SIDしか設定していなかったので、そのほかの環境変数も設定します。前回よりも後ろの位置に追加してください。ORACLE_HOMEは、Oracle Universal Installerで設定したものを使用してください。デフォルトでは、$ORACLE_BASE/product/9.0.4です。
$ cd
$ vi .bash_profile
export ORACLE_HOME=$ORACLE_BASE/product/9.0.4/
export NLS_LANG=Japanese_Japan.JA16EUC
export PATH=$ORACLE_HOME/bin:$PATH
export LD_LIBRARY_PATH=$LD_LIBRARY_PATH:$ORACLE_HOME/lib
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設定した値を有効にします。これでインストール作業は終了です。あとはマニュアルなどを参考に操作してください。
[参考資料]
特に無し
[更新履歴]
2004/07/14 正式サポートに関する記述追加
2004/07/13 修正
2004/07/01 新規作成
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