このFAQでは、MIRACLE LINUX V3.0にOracle Database 10g Release 1 (10.1.0)をインストールする方法について説明します。インストールする方法としては、次の2つの方法があります。
このFAQではInstall Navigator for Oracle(以下、oranavi)を使わない方法について説明します。oranavi を使う方法につきましては、oranaviを起動すると表示されるドキュメントをご覧下さい。
※Install Navigator for Oracleとは、Oracle製品のインストールを支援するユーティリティです。とても簡単にOracleをインストールできるのでお勧めです。
インストールは下記の手順で行います。この文書では、おもにOSのインストールからOracle Universal Installerの起動までについて説明します。Oracle Universal Installerが起動してからについては、下記のOracle製品マニュアルをご覧ください。
- OS のインストール
インストレーションガイドに従ってインストールします。インストールの種類では「すべて」などを選択してください。また、ハードウェア要件は下記の通りです。ディスクパーティション設定の際には、注意してください。
項目 | 内容 |
搭載メモリ | 512MB以上 |
空きディスク領域 | 2.5GB以上(バイナリ:1.5GB。DB:1.0GB)。コンパニオンをインストールするためにはさらに1GB以上。 |
スワップ領域 | 1GBもしくは搭載メモリサイズの2倍。2GB以上のメモリを搭載しているシステムでは、メモリサイズの1から2倍 |
その他 | /tmpに400MB以上の空きディスク領域 |
- ハードウェア要件の確認
Oracle Database 10gをインストールするには、前記のハードウェア要件を満たす必要があります。それぞれについて確認します。
搭載メモリとスワップサイズは、次のコマンドで調べられます。MemTotalが搭載メモリで、SwapTotalがスワップです。
$ cat /proc/meminfo
total: used: free: shared: buffers: cached:
Mem: 1052545024 1036943360 15601664 179281920 191262720 573591552
Swap: 542826496 32862208 509964288
MemTotal: 1027876 kB
MemFree: 15236 kB
MemShared: 175080 kB
Buffers: 186780 kB
Cached: 543004 kB
SwapCached: 17144 kB
Active: 587336 kB
Inact_dirty: 326404 kB
Inact_clean: 8268 kB
Inact_target: 256936 kB
HighTotal: 131008 kB
HighFree: 11524 kB
LowTotal: 896868 kB
LowFree: 3712 kB
SwapTotal: 2030104 kB
SwapFree: 498012 kB
BigPagesFree: 0 kB
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Oracleをインストールするパーティションにハードウェア要件を満たす空きがあることを確認します。
$ df -h
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on
/dev/sda5 26G 21G 3.7G 85% /
/dev/sda1 68M 11M 54M 16% /boot
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同様に/tmpを含むパーティションに400MB以上の空きがあることを確認します。空きがないときには、TEMP環境変数を使って回避できます。
$ df -h /tmp
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on
/dev/sda5 26G 21G 3.7G 85% /
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- ソフトウェア要件の確認
MIRACLE LINUX V3.0 に Oracle Database 10g をインストールする際のソフトウェア要件は以下の通りで、これらのパッケージはすべてMIRACLE LINUX V3.0 に同梱されています。
・gcc-3.2.3-2
・compat-db-4.0.14.5
・compat-gcc-7.3-2.96.122
・compat-gcc-c++-7.3-2.96.122
・compat-libstdc++-7.3-2.96.122
・compat-libstdc++-devel-7.3-2.96.122
・openmotif-2.2.2-16
・setarch-1.3-1
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次コマンドでインストール済みパッケージを確認します。
# rpm -q \
gcc-3.2.3-2
compat-db-4.0.14.5
compat-gcc-7.3-2.96.122
compat-gcc-c++-7.3-2.96.122
compat-libstdc++-7.3-2.96.122
compat-libstdc++-devel-7.3-2.96.122
openmotif-2.2.2-16
setarch-1.3-1
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MIRACLE LINUX V3.0 をカスタムインストールする場合、compat-dbパッケージは「その他」の項目から明示的にcompat-dbを選択していただく必要があります。
OSインストール後に、不足しているパッケージがある場合には、以下の手順でインストールCD-ROMからインストールを行います。
# mount /mnt/cdrom
# cd /mnt/cdrom/Asianux/RPMS
# rpm -ivh compat-db-4.0.14.5
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- カーネルパラメータの設定
MIRACLE LINUXのカーネルパラメータはOracleに最適化されています。そのため特に変更する必要はございません。
カーネルパラメータを確認するには/etc/sysctl.confファイルを参照して下さい。
# vi /etc/sysctl.conf
kernel.msgmnb = 65535
kernel.msgmni = 2878
kernel.sem = 256 32000 100 142
kernel.shmmax = 2147483648
fs.file-max = 131072
fs.aio-max-size = 2147483648
net.ipv4.ip_local_port_range = 1024 65000
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設定ファイル変更の際には、「sysctl -p」で、設定した値を動的に有効にします。
- シェル制限の設定
シェル制限とは、ユーザーごとの最大プロセス数や最大オープンファイル数など、ユーザーごとに設定する制限値です。MIRACLE LINUX V3.0 では、シェル制限はあらかじめ設定されています。/etc/security/limits.confに、次の内容が設定されていることを確認してください。
rootユーザーが変更できる上限値のハードリミットと、一般ユーザーが変更できる上限値のソフトリミットがあります。
# vi /etc/security/limits.conf
* hard nproc 16384
* soft nofile 2048
* hard nofile 65536
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- インストールユーザーおよびグループの作成
このセクションではOracleオーナーとなるユーザーおよびグループを作成します。今回は次の条件でインストールします。
項目 | 値 |
Oracleオーナー | oracle |
Oracleインストール用グループ | oinstall |
Oracle管理者用グループ | dba |
グローバルデータベース名 | orcl |
Oracleのインストール先 | /opt/app/oracle |
データベースの作成先 | /opt/app/oracle/oradata |
インストール用ユーザーグループ「oinstall」と管理者用グループ「dba」を作成します。
# groupadd oinstall
# groupadd dba
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oracleユーザーを作成します。作成したらパスワードも設定します。
# useradd -g oinstall -G dba oracle
# passwd oracle
Changing password for user oracle
New password:<ここにパスワードを入力>
Retype new password:<同じパスワードを入力>
passwd: all authentication tokens updated successfully
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- インストール先ディレクトリの作成
Oracleのインストール先ディレクトリを作成します。今回はORACLE_BASEを/opt/app/oracleとしていますが、/u01/app/oracleや/opt/oracleなどでも構いません。
# mkdir -p /opt/app/oracle
# chown oracle:oinstall /opt/app/oracle
# chmod 775 /opt/app/oracle
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- 環境変数の設定
Oracle Database 10gに必要な環境変数をoracleユーザーに設定します。Oracle9i Databaseでは、ORACLE_HOMEやNLS_LANGなども設定していましたが、Oracle Database 10gでは、インストール時にはORACLE_BASEとORACLE_SIDだけになりました。それ以外の環境変数は、インストール後に設定します。
また、これまではrootユーザーで作業してきましたが、ここからはoracleユーザーで作業します。rootユーザーとはコマンドプロンプトが違うので注意してください。rootユーザーは"#"で、一般ユーザーは"$"です。
$ cd
$ vi .bash_profile
export ORACLE_BASE=/opt/app/oracle
export ORACLE_SID=orcl
ulimit -n 65536 >/dev/null 2>&1
ulimit -u 16384 >/dev/null 2>&1
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設定した値を有効にします。
ssh経由で接続したときのエラー
ssh経由で接続すると、次のエラーが発生することがあります。
bash: ulimit: cannot modify limit: Operation not permitted
この原因は、ssh接続時に、/etc/security/limits.confの設定は反映されないからです。sshではセキュリティ確保のため、ssh経由で接続したプロセスに対し、そのユーザーが本来持っている権限以上の変更はできません。
ssh経由でも/etc/security/limits.confの設定を有効にしたいときには、sshdの設定ファイルに次の1行を追加します。
# vi /etc/sshd/sshd_config
UsePrivilegeSeparation no
sshdデーモンを再起動します。
# service sshd restart
ただし、この設定はセキュリティホールにつながる可能性があります。外部からアクセスできるサーバーには絶対に設定しないでください。
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- Oracle Database 10gのインストール
Oracle Database 10gのインストールのインストールを開始します。oracleユーザーでログインしてXウィンドウを起動します。インストール時には、rootユーザーも使用するので、ターミナルを2つ起動して、1つをrootユーザーにします。
Oracle Database 10gのCD-ROMをドライブにセットしてマウントします。
ここからはoracleユーザーの作業です。ハードウェア要件の確認で、/tmpの空き容量が少ないときには、十分に空きのあるディレクトリを環境変数TEMP,TMPDIRに指定します。
$ mkdir /opt/app/oracle/tmp
$ export TEMP=/opt/app/oracle/tmp
$ export TMPDIR=/opt/app/oracle/tmp
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ORACLE_HOMEやTNS_ADMINなどが設定されていないことを確認します。設定してあるときはunsetします。
$ echo $ORACLE_HOME
$ echo $TNS_ADMIN
設定してあるときのみ実行:
$ unset ORACLE_HOME
$ unset TNS_ADMIN
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oracleユーザーでインストーラーを起動します。あとは画面の指示に従ってインストールします。詳細はOracleの製品マニュアルをご覧ください。
$ /mnt/cdrom/runInstaller
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- インストール後の設定
インストールが終わったら画面の指示に従ってroot.shを実行します。それからOracle Universal Installerを終了します。ここではOracle Universal Installer終了後の作業について説明します。
インストールのときにはORACLE_BASEとORACLE_SIDしか設定していなかったので、そのほかの環境変数も設定します。これで自由にSQL*Plusを起動できるようになります。前回よりも後ろの位置に追加してください。ORACLE_HOMEは、Oracle Universal Installerで設定したものを使用してください。デフォルトでは、$ORACLE_BASE/product/10.1.0/db_1です。
$ cd
$ vi .bash_profile
export ORACLE_HOME=$ORACLE_BASE/product/10.1.0/db_1
export NLS_LANG=Japanese_Japan.JA16EUC
export PATH=$ORACLE_HOME/bin:$PATH
export LD_LIBRARY_PATH=$LD_LIBRARY_PATH:$ORACLE_HOME/lib
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設定した値を有効にします。これでインストール作業は終了です。あとはマニュアルなどを参考に操作してください。